京大農場オープンファーム2013

今日は小雨の中、京大農場オープンファームに行って来ました。昨日の広島日帰りの疲れが取れず、今日はもう出かけるのを止めようと思っていたのですが、午後になって、行かないと後悔すると思い直しました。

京大農場は安満遺跡の上に存在しており、京大農場の移転をきっかけに、高槻市が文化庁と国交省の補助金を得て、防災機能を備えた「(仮称)安満遺跡公園」として整備する計画が粛々と進んでいます。

この高槻の地に私たち家族が引っ越して来てもうすぐ15年、昨夏、愛犬を亡くすまでは、毎朝晩、この京大農場に隣接する北側の農地(現在は民有地)近辺を、犬の散歩コースにしていました。雨の日も、雪の日も、台風の日も。だから、個人的にはとても思い入れの強い場所なのです。春先にはケリが繁殖し、初夏にはイワツバメが飛び回る、都市の中の自然。京大農場は普段は農地部分には入れませんが、真ん中を横切る道路は、近隣住民も通ることも出来ます。阪急京都線からは、四季折々の農場の様子を眺めることが出来ます。そんな訳で、ここは、本当はずっとこのままで残ってほしい場所です。

一時は、市長選挙の公約に、京大農場跡地にサッカー場の誘致を、などの文字が躍ったこともありました。でも、農場下に安満遺跡が眠っているため、サッカー場の建設は無理だと当時聞きました。遺跡は、この場所の緑と生き物を守ってくれたのです。しかし、皮肉なことに、今度は史跡指定地であるために、あらたに史跡公園を整備するにあたっては、「誤解を招く整備」「史跡の保存に影響する行為」はしてはいけない、とのことです。「農業経営等の文化財の保存目的外の施設整備」はダメだと。

今、「誤解を招く整備」「史跡の保存に影響する行為」で検索してみると、こんなページ(官邸、特区申請の際のものらしい)が見つかりました。http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kouzou2/kouhyou/030128/s2_8.pdf 

このページの特別史跡五稜郭の例、文化財保護法の条文番号が間違っている?ようですが、現行文化財保護法第百二十五条  史跡名勝天然記念物に関しその現状を変更し、又はその保存に影響を及ぼす行為をしようとするときは、文化庁長官の許可を受けなければならない。」が論点でしょうか?

先の官邸ページには、措置の概要(対応策)として文科省が、「史跡の現状変更等は、当該行為による遺構への影響や歴史的景観への影響及び当該行為の必要性等を専門的見地から総合的に判断の上、史跡の適切な保存・整備・公開・活用に支障のない範囲で、認めているところである」と書いています。

とりあえず、現状のまま農地にしておくならいいようなのですが、市の手で、現在の京大農場及び隣接北側民有地(いずれも史跡指定地)の、果樹・水田・畑を維持管理するのは無理とのこと。市民の手で維持管理が長年に亘って出来るんですか?と重い選択を強いられている・・・と私は理解しています。あと、安満遺跡は弥生時代の遺跡なので、弥生時代になかった果樹などは、「考古学的知見として弥生時代の景観を作り出す上で課題がある」とのこと。

色々と悩ましい思いを抱えながら、今日に至っています。書き出すと悩ましさが増すばかりなので、今日は本題の、「京大農場に行って来ました」ネタで大人しく〆ようと思います。

雨が降っていたので、メモは取っていません。なので、以下、記憶はあいまいです。

「農場ツアー2013~蔬菜・水田コース」に参加させていただきました。まず、イチゴハウスです。「さがほのか」と「さちのか」を栽培しているとのこと。畝を作ってマルチングしたものと、腰を痛めないよう、ベット栽培されたものがあります。

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実の成っているものもあります。おいしそう。(実は、我が家にも、イチゴの鉢はあるのですが)

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加温するためのボイラー。

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「福羽」というイチゴは、確か日本で一番最初に栽培されたイチゴと言われていた記憶が。梨などの果樹同様、野菜に分類されるイチゴでも、栽培品種の保存をされているのですね。

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この黄色い粘着テープは虫取り用。虫は黄色い色が好きなのだとか。

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水に肥料を混ぜて、パイプで畝やベットに送り出す装置。

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 これが、びっくりなんですが、「光合成促進機」。中で灯油(だったかな?)を焚いているだけ、とのことですが、CO2を発生させて、光合成を促進させます。水槽にCO2を送り込む「みどボン」(生ビール用CO2ボンベ)のようなモノですね。

 

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イチゴの受粉は、温室中央に置かれた巣箱のミツバチが行っています。

次は、トマトハウス。京大で育成した「単為結果性品種」のトマトは、冬季の無煖房栽培が可能とのこと。普通種のトマトは、受精障害を回避するために煖房が必要、といただいた説明プリントに書いてありました。見学の時には、紐に気を奪われていました。この紐は、成長したトマトを絡ませていくためのものだそうです。

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唐辛子、辛くない唐辛子を栽培中とか。丸い唐辛子は、初めて見ました。

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一番端の畝には、世界の珍しい唐辛子を集めて栽培しています。

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次はアスパラガス。10~15年間は収穫できるとか。

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イネ。この辺りは、番号しかついていなような品種を色々栽培しているとか。

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細かく、ラベルが立ててある個所もありました。

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阪急の高架を望む刈り取りの終わった田んぼの風景。京大農場全体の面積は、甲子園球場より少し狭い位とのこと。

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ダイズ畑。

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ダイショというヤマノイモの仲間の畑。初めて見た芋です。緑が鮮やか。

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ダイショは熱帯原産の芋で、ナガイモのように利用できるそうです。熱帯原産だけど、高槻でも生産でき、12月に収穫するとか。大きな芋を皮を付けて細かく切って植えると、皮の部分から芽が生えてくるそうです。

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京大農場を後に、北側の民有地の中を通って帰ります。犬君とよく歩いた道。こんなどうということのない光景が好き。

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北側には、JRが通ります。

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我が家のごく近所のお家は、このあたりの畑を借りています。

つい最近の会話:「畑もそのうち公園が出来て借りれなくなるらしいけど、ウチらが生きてる間は大丈夫やろ、って。畑も残しといてくれたらいいのにな。」・・・市による隣接民有地の買い上げは、なかなか時間がかかるかもしれません。

あらたに公園管理のボランティア団体を作るより、今、田んぼや畑をやっている人に、耕作を続けて貰うのが一番簡単な気がするのですが、文化庁からの補助金の縛りがネックのようです。

今日は、結局こんなにオープンファームで買い物してしまいました。

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京大農場の皆さま、ありがとうございました。柿、さっそく食べましたが、おいしかったです。