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最近読んだ本

全然、本が読めていないのですが、以前Upしてから後に読んだ本の記録を貼っておきます。

  • 「物語 ベルギーの歴史 - ヨーロッパの十字路 (中公新書)」
    松尾 秀哉/ 中央公論新社/ 907円/ (2014/08/22)
    ■ 読了(2015/04/04) / / Amazon
    オランダとベルギーへ行くときに読もうと思って持って行った本のうちの一冊。結局、現地では読めずに、帰路の飛行機と帰国後に読み継いだ。美術館巡りが中心だった旅ではほとんど気付かなかった意外な歴史が描かれていて、ベルギーの人たちは大変だなと思った。
    ヨーロッパ史は苦手である。高校時代、ゲルマン民族の大移動のところで世界史は挫折したが、この本もベルギー前史のところが難解である。しかし、フランク族の侵入により、ローマ軍がベルギカを東西に走る軍用道路まで退却し、北部にはフランク族が植民し、この軍用道路がその後ゲルマン(フランデレン)とローマ(ワロン)を分かつ「言語境界線」となっていく(7-8頁)。この4世紀頃の出来事が、現在までの北部オランダ語圏と南部フランス語圏を形成し、それが故の葛藤と分裂危機として現在に至っているとは、驚くべき話である。言語と民族の違いとは、そこまで根強いものなのか。
    この本の面白いのは、先ず、「自治都市」の発生についてである。12~13世紀、フランドル伯領は、布地をバルト海や地中海沿岸へ売る商業の中心地となった。マルクト(市)は商人たちが旅路の途中で「市」を開いて商売をした、その名残である。この「市」を起点に人々が集まり、商人を中心とする共同体である「都市」が発展していったとのことで、これが「自治都市(コムーネ)」の形成である(16頁)。これはブリュッセルブリュージュで立派なマルクトを見てきた直後なので、おおーっという感じだ。
    続いて、ブリュージュ公文書館の中にある「自由ブリュージュ博物館」がなぜ、カール5世をたたえる(「地球の歩き方」の記述による)のかよく分からなかったのだが、本書を読むと、相続と選挙によりスペイン王カルロス1世が、1519年にブルゴーニュ、オーストリアネーデルラント、スペインにわたる大帝国の皇帝、カール5世になった、とある。カール5世は現在のベルギーのヘント(ゲント)の生まれなので、ベルギーが輩出した大帝国の皇帝なのだ。戴冠はドイツのアーヘンということだから、「自由ブリュージュ博物館」がなぜ、という問題は、本書を読んだだけではよく分からなかった。この時代はルーベンスが活躍した時代で、かつ、スペイン統治に反抗的だったブリュージュに代わってアントワープが貿易港として発展したという(17-18頁)。
    フランス革命を機に、ベルギーは1790年に新憲法を採択し、ベルギー共和国の独立を宣言、しかし、たちまち、オーストリア軍に制圧されてしまう。1795年にはフランスに併合され、オランダ語の使用が禁止される。ウィーン会議によって、ベルギーはオランダ領とされる。オランダの言語政策はフランス語を母語とするワロンの人々の反発を招き、またベルギーの人々への重税等が不満を招き、自由主義派と保守派は「同盟」を組織する(25-33頁)。
    1830年独立革命を遂げたベルギーは、オランダとの調停を求め、5大国(オーストリア、ロシア、プロイセン、イギリス、フランス)に国際会議の招集を要求、ロンドン会議が開催されるが、ここでは「誰をベルギーの君主とするか」が問題となった。ベルギーの人々は君主を置くことに嫌悪感を持ち、共和制を望んでいたが、他の君主たちにとって革命は恐怖であり、共和制の成立を当時の周辺の君主国が許さなかった。従って、ロンドン会議に集まった5大国は国王を立てることを交換条件にしてベルギーの独立を承認した(38-44頁)。何とも気の毒な話である。
    本書はここから、歴代の君主や政権、言語問題に入っていく。次に愕然としたのは、2代目国王レオポルド2世のコンゴ獲得である。レオポルド2世はコンゴを個人所有の国とした。ベルギー政府と議会は人道的見地から植民地政策に乗り気ではなかったが、ベルギー財界は大いに潤い、多くの植民地財閥が誕生した。国王と財閥によるコンゴ支配は残虐で、レオポルド2世は、「有色人種は怠惰で、暴力で支配する必要がある」と考えていた(76-78頁)。有色人種である私は、ここで強い不快を感じるのである。コンゴが独立できたのは、1960年のことであり、ベルギーがその後も介入を続けたため、コンゴ動乱が、また第一次大戦後にドイツから獲得していたルワンダでも内戦により人類史上稀に見るジェノサイドが発生する(135-140頁)。ここを読むと、ベルギーという国の負の側面を見てしまうことになる。
    その後の本書では、言語問題と分裂の危機を中心に、国王と政党政治の変遷、連邦制の導入についての記述が続く。君主制自体の見直しや、共和制を導入しようという議論も現在まで続いているようだ。そして何より、何か不満があると大規模デモが打たれるようで、そこのところが日本とは違って面白い。
    http://www.readingplus.jp/entry/4121022793/1694001
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    ブリュージュの市庁舎と公文書館(2015年3月27日撮影)
     
  • 「本で床は抜けるのか」
    西牟田 靖/ 本の雑誌社/ 1728円/ (2015/03/05)
    ■ 読了(2015/03/07) / / Amazon
    読み出したら、ついつい止められずに、仕事の休憩と称して最後まで読んでしまった。紙の本で持つのか、電子化するのか、が最大の論点。どうも電子化すると後悔が残りそうだ。
    以下、参考になった箇所を。1)地震が発生した時、一番上の階で寝ていると、建物が倒壊しても掘り出して貰える可能性が高い(77頁)。2)本が多いかの判断の基準は、玄関に本があるかどうか。玄関が本に占拠され、中に入るのが困難な状況なら本が多いとみて間違いない(103頁)。3)キンドル・ペーパーホワイトの辞書機能がよい、洋書を読む時(190頁)。4)松原隆一郎・堀部保嗣『書庫を建てる 1万冊の本を収める狭小住宅プロジェクト』(新潮社、2014)(195頁)。ちなみに、私は最上階で寝ているし、玄関に本はない。ただし玄関に3本水槽がある時点で、別の病に罹っている気がする。水槽は2Fに置くのはNGだ。
    あとは、著者の奥さんと娘さんの今後が気がかりだ。もちろん、著者も気の毒だが。購入したまま積読している本『誰も国境を知らない』の著者と同一人物というのがびっくり。あ、そうだ、西牟田さんには、「水槽で床は抜けるのか」を取材執筆していただくといいのではないだろうか。熱帯魚雑誌か何かに。
    http://www.readingplus.jp/entry/4860112679/1694001
     
  • 「おひとりさまの終の住みか: 自分らしく安らかに最期まで暮らせる高齢期の「住まい」」
    中澤 まゆみ/ 築地書館/ 2160円/ (2015/02/03)
    ■ 読了(2015/03/02) / / Amazon
    Amazonの箱の中にチラシが入っていて、思わず目に留って買った本。読み出したら気になって、最後まで読んでしまった。「自宅に住み続ける」「高齢者住宅に住む」「介護施設に住まう」「ともに暮らす」の4章構成。
    自分で読み始める前に、食卓に置いて、長男に先にざっと目を通して貰った。長男のざっと読みのまとめは、「施設に入っても+αのお金がかかる」「まず、家を片付けなさい。この、電気のコードとかに足、引っ掛けて転ぶから」の2点。
    私自身も、本書を読んで、出来るだけ長く自宅で暮らし続けたいと思うようになった。高齢者住宅や介護施設は種類が多すぎて、本書では丁寧に説明されているが、具体的なイメージが湧きづらい。以前から言葉としては知っていた「特養」と「老健」の違いなどは、なるほどと思ったし、政策・法律が次々と変わっていることも理解出来た。しかし、高齢者住宅も、介護施設も、現在の自宅を処分しないと費用を捻出できそうにないことに気づかされた。それならば、やはり自宅で過ごせるよう、体を動かし、生活を整え、人とのつながりを大切にしていかないといけないと思った。
    初老期に差しかかかったタイミングで、この本に出合えてよかったと思う。
    http://www.readingplus.jp/entry/4806714895/1694001
     
  • Kadokawa Art Selection レンブラント 光と影のリアリティ」
    熊澤 弘/ 角川書店(角川グループパブリッシング)/ 967円/ (2011/02/25)
    ■ 読了(2015/02/21) / / Amazon
    ようこそ、アムステルダム国立美術館へ」を見て、オランダの民主主義に興味を持った。そして、集団肖像画がなぜ描かれたのかの意味をおぼろげながら知るに及んで、アムステルダム国立美術館に行ってみたくなった。絵を見るより、美術館を走り抜ける自転車を見てみたい、と言ったら怒られるだろうか。
    熊澤さんの『レンブラント』は、残念ながらなぜ、オランダはそんな民主主義国家になったのか?という私の疑問には答えてくれていないけど、それは、この本の価値を下げるものではない。一般の読者向けに、平易な、しかし端正な文章で、レンブラントの生涯と制作年代に沿った作品解説が丁寧に続けられている。
    特に嬉しかったのは、本文中で取り上げられている作品に、所蔵館名が書かれていることだ。へー、この館が持っていたんだ、とか、こんな美術館があるのか、という発見があり、ちょっとした旅行ガイドブックになっている。そして、レンブラントの作品が、欧米各地の博物館に散在していることが分かる。全部、見て回るのは大変! ”Writing about art”って、こういうことなのか、がよく分かる本でもある。特に、「夜警」の「槍や鉄砲、あるいは人の腕が画面上で平行に位置づけられることで、組織化された平行線が画面のバランスをとる効果を持っている」(178頁)の記述とか。
    本書を読んでいる途中で、コメニウスの研究者から、「レンブラントの住居は、コメニウスの住んでいた場所とそれほど離れておらず、同時代の二人は知り合いだったという説が濃厚です」というメールをいただいた。頑張って、コメニウスへの言及がないか後半を読み進めたけど、残念ながら発見できず。
    レンブラントが生まれた時代は、オランダがジャカルタ東インド会社を築いた時代でもあろう。レンブラントが海運業への投資でも失敗していたらしいことが記載されていて(212-213頁)、当時のオランダの「市民社会」がどんなものだったのか、ますます興味が湧く。次は、オランダ史の本を読んでみたい。
    http://www.readingplus.jp/entry/4043944128/1694001
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    アムステルダム国立美術館にて(2015年3月24/25日撮影)

  • 「理系のためのクラウド知的生産術―メール処理から論文執筆まで (ブルーバックス)」
    堀 正岳/ 講談社/ 886円/ (2012/01/20)
    ■ 読了(2014/11/29) / / Amazon
    Mendeleyの使い方を知りたくて買った本。メンデレイの使い方にはわずかなページしか割かれていなかったが、メンデレイの論文ファイルをDropboxフォルダ内で管理する方法はさっそく実行してみた。
    メンデレイとは別に、Dropbox内に論文を入れる際にも、発表年のフォルダを作成してその年の論文は全てそこに入れるというのは、後で探しやすい方法だと思った。また、Gmailの設定で普段使っているアドレス(私の場合はdion)をアカウントに追加すれば、メール送信の際に、Gmailアドレス、dionアドレスのいずれかを選んで送信できるという機能があることが紹介されていて、早速これも実行してみた。
    パソコン内のデータが自動バックアップできる有料サービスの例も載っていて、これは実行するか考え中。ATOKパスポートで単語登録を同期するというのも、便利そう。しかしどちらも有料サービスなので、チリも積もれば・・・と思わなくもない。
    Dropboxは今回初めてアカウントを取得した。Evernoteは以前にアカウントを取って、使わずに放置していた。この本を読んで、ある程度、DropboxEvernoteの違いを理解した気はするが、特にEvernoteの方はもう少し詳しい説明が欲しいところ。
    しかし、以前から気になっていた様々なクラウドサービスが簡潔に紹介されていて、短時間で知りたいことをざっと整理&ざっと理解出来てよかった。
    http://www.readingplus.jp/entry/4062577534/1694001
     
      • 「1秒もムダに生きない 時間の上手な使い方 (光文社新書 525)」
        岩田健太郎/ 光文社/ 821円/ (2011/06/17)
        ■ 読了(2014/11/07) / / Amazon
        面白くて一気に読んでしまった。かなり自由な生き方を貫いてこられた、感染症が専門のお医者さんの本。著者のように聡明でも努力家でもないけど、考えて来たことや生き方は自分に似ているところがあり、読んでいて安心したというか、背中をもうひと押しされた気分だ。
        偉いと思ったのは、他者との比較によって規定される生き方をしない、という方針を高校生の頃から徹底しておられるところ。また、本書の中で一番印象に残った部分は、著者のロンドン留学時代に図書館で知り合った、死に物狂いで勉強していたアフリカからの留学生の言葉。「自分は〇〇国の役人で、国費留学でイギリスにいる。国には感染症など病気が蔓延しており、多くの人が死んでいる。健康教育が大切なのだが、識字率が低く、国民の多くは字が読めない。僕はここで教育を勉強して、国に持って帰って国民が字を読めるようにしたいのだ。僕は母国を救いたいのだ」(29頁)。――豊かになった日本で、何のために学ぶのか、生活のため以外にどんな高い理想を掲げ仕事に打ち込めるのかは相当の難問だと思う。
        「学会発表より前に学術論文を書く理由」など、細部で、これが出来たら偉い!みたいなポイントは多々あったが、そうしたノウハウ的な部分以上に、巻末の「停滞や挫折を許容し、待つこと」などの話が心に沁みた。もともとTVがなく、新聞もめったに読まない私にとって、2章はくどい気がしたが、全体を通じ3部構成にした筆者の意図はよく伝わってくる。
        http://www.readingplus.jp/entry/4334036287/1694001
         
    「誰が「知」を独占するのか-デジタルアーカイブ戦争 (集英社新書)」
    福井 健策/ 集英社/ 821円/ (2014/09/17)
    ■ 読了(2014/11/04) / / Amazon
    ネットで断片的に目にしていたあれこれの言葉をコンパクトに整理し、かつ今後、日本が向かうべき方向について提言してくれている本。デジタルアーカイブを巡る世界と日本の動きの大まかな見取り図が理解出来た。「孤児著作物」や「肖像権」の問題は、著者の提案のように解決されるとよいと思う。
    少し悩んだのは、著者の提案通り、国立のデジタルアーカイブセンター(NDA)がデジタル化工房中央センター兼統一ゲートウェイでいいのか、という問題。「国立」という部分に若干の危惧が。つまり、時の政府にとって都合の悪いデータが、焚書ならぬ焚データされないか、つい心配してしまうのだ。原本は別の機関が持ってるから大丈夫とか、ゲートウェイならデータは別機関にも存在するとか、あれこれ考えてしまう。
    災害対策や不慮の事故予防ならデータの分散を、「焚データ」対策も、あちこちに情報を分散させておくということか。中央集権という意味では、つい、「日本史資料センター」問題とか連想してしまう。まあ、デジタルアーカイブ以前に、「国家」というものに根本的な疑念があるのが、私自身の個人的課題か。でも、本書はそのあたりの危惧をすっ飛ばして書いているようにも読める。国から予算を取ってくるには、こういう書き方も戦略として必要なんだろうな、とも。ご本人の人となりが窺えるのは、サンデル教授の授業に対する家族の反応の部分だけのようだ。

    【2014/11/5追記】
    大事なことを思い出したので、追記すると、違和感を感じたのは巻末の「提案10 無料字幕化ラボ」の部分。「そこに作品データを送れば、無料で英語字幕や英語での説明を付けてくれるのです。もちろん無料ですからレベルはそこそこです。・・・品質的には、友人に翻訳を付けてもらったくらいに考えるのです。・・・スタッフには、控えめな報酬で働いてもよいという翻訳者やその卵、そして各国の留学生を募ります」(231-232頁)とある。翻訳はそもそも労多くして功少ない仕事だと思うが、「そこそこ」に誤訳されて拡散する危険性、「控えめな報酬」って、それ、最低賃金との関係はどうなるのだろうか、とか、首を傾げた。根底には、翻訳だけでなく、「データ入力などの地味な作業とボランティア」という多元的な価値観がせめぎ合う世界があると思う。本書の冒頭には、「富田倫生に―その心意気に」が掲げられていて、筆者のスタンスは明確だが、デジタルアーカイブという「大義」の前に埋もれがちな個々の作業のほうに、私としては、つい目が向いてしまうのだ。
    http://www.readingplus.jp/entry/4087207560/1694001