最近読んだ本

ずっと本が読めない日々が続いていましたが、最近、急に読書の秋になりました。2月にアップした後に読んだ本のメモを、ここにも貼り付けておきます。これだけしか読んでないのか、とか言わないで下さい。忙しかったんです(言い訳)。

2014年 10月の読書記録まとめ (読み終わった本)

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「(株)貧困大国アメリカ (岩波新書)」
堤 未果/ 岩波書店/ 821円/ (2013/06/28)
■ 読了(2014/10/30) / 評価:5.0 /
フードスタンプに変わるSNAP(食料支援プログラム)によって潤う食品業界、スーパーチェーン、電子カード式に切り替えられたことで儲かる大銀行、これでは何のための低所得者支援だか分からない。ジャンクフードや飲料のせいで糖尿病にかかる貧困児童は増加。借金の罠にはめられる契約養鶏業者、家畜工場で最低賃金の1/10で働かされる囚人、遺伝子組み換え(GM)作物やGMサーモン、アメリカではGMのラベル表示は義務づけられていない。最悪なのは、GM作物が耐性を持つ除草剤をGM種子とセットで販売するやり方。GM種子以外の草は枯れてしまう。このGM種子はアメリカ国内だけでなく、イラクやインド、アルゼンチンなどに拡げられ、在来の作物を駆逐してしまう。デトロイトニューオリンズでは、公立学校がチャータースクール(営利学校)に取って変わられる。組合への加入と支払いの義務化を廃止する労働権法の成立で、労働条件の悪い低賃金労働が増えていく。州会議に提出される法案草稿を検討する評議会ALECには企業や基金などの民間代表が所属、政策草案を作るのは多国籍企業で、日本の製薬会社も加わっている。企業の政治献金も無制限に認められるようになり、大量の政治献金が政界に流れ込み、マスコミは大統領選の巨額のCMで潤う。二大政党の対立と見せかけ、実際には二大政党に企業献金が寄せられ、国民の1%にすぎない富裕層の利益を優先する。
ショックなことだらけの本書の中でも、PPPの手法によりジョージア州で誕生した「完全民間経営自治体サンディ・スプリング」の話には驚かされた。アトランタ近郊に住む富裕層が住民投票を行い、自分たちだけの自治体を作って独立してしまったという。
驚愕の、しかし真実味を帯びた記述で、アメリカの食品を食べるのが、ますます怖くなったし、GM種子がこれ以上拡散しないことを切に願う。これほど多国籍企業と政府の癒着の実態を暴いてしまって、著者は大丈夫なのかと心配になるほどである。
http://www.readingplus.jp/entry/4004314305/1694001

「ルポ 貧困大国アメリカ II (岩波新書)」
堤 未果/ 岩波書店/ 799円/ (2010/01/21)
■ 読了(2014/10/23) / 評価:5.0 /
あまりに気になる内容なので、ルポ第二弾も一気に読んだ。民間金融機関のローンを政府が再保証する学資ローン(サリーメイ)は完全国営だったはずが、1995年には民営化、学生たちに直接ローンを貸し、全米の各大学に多額の寄附を行い、多額の献金やロビー活動で議会に圧力をかける。保証会社や債券回収機構など学資ローン関連事業すべてを傘下に収め、独占企業化した。消費者保護法からも除外された学資ローンは延滞も一切の免除もなく、延滞利子が膨れ上がる仕組みで、執拗かつ脅迫的な取り立てが行われる。
GM社に代表される企業年金医療保険の崩壊により、老後の人生設計が狂う老人たち。オバマは、高額な医療費支出の削減と新たな公的保険による無保険者の解消を目指すが、現制度から莫大な利益を得ている医療保険業界と製薬会社が、多額の献金を通じてホワイトハウスを支配しているため、医療保険改革はとん挫する。NPOの医療従事者たちによる無料診療に1,500人もの人が行列を作り、教会が借り上げた競技場の長椅子にズラリと並んで診察を受けるさまは、先進国とは思えない異様な光景である。多額の医療費請求が払えずに中流の人たちさえ破産していく。
極めつけは、最終章の「刑務所という名の巨大市場」。アメリカでは逮捕された日から法定手数料300ドル、囚人基金の積み立て金25ドルを取られる一方で、刑務所での労働対価は時給40セント。部屋代、医療費、食費、トイレットペーパー、歯磨き粉、図書館の利用料まで負担させられ、借金漬けにされる。1990年代に刑務所は民営化され、第三世界より安い賃金で働かせられるため、電話交換オペレーターやPCのリサイクル業務などが囚人たちにアウトソーシングされている。刑務所の土地と建物を所有してテナントに賃貸する投資信託はローリスク・ハイリターン投資信託として人気を呼んでいるという。
ホームレスは犯罪者として取り締まられ、「炊き出し禁止令」を出した州も。ここまで来ると、アメリカはもうクレージーとしか言いようがない。他の人たちを食い物にして富を蓄えて、それで人間としての心が痛まないのだろうか。アメリカの医師や看護師たちが、単一支払皆保険制度を望んでいることが、せめてもの、救いだろうか。本書に書かれていることが真実だとしたら、日本は決してアメリカの真似をしてはならない。
http://www.readingplus.jp/entry/4004312256/1694001

「ルポ 貧困大国アメリカ (岩波新書)」
堤 未果/ 岩波書店/ 756円/ (2008/01/22)
■ 読了(2014/10/22) / 評価:5.0 /
書かれている内容が恐ろし過ぎて、一気に読まずにはいられなかった。恥ずかしながらサブプライムローンが社会的信用度の低い層向け住宅ローンだったことを初めて知ったし、フードスタンプや無料-割引給食プログラムの実態についても、肥満をもたらすという面からの問題点を知ることが出来た。ハリケーン・カトリーナ災害後の貧困地域「削除」問題(スラムクリアランスと言ってよいだろう)、NAFTA北米自由貿易協定)によってアメリカ産トウモロコシに市場を奪われ、農地を手放し、アメリカに密入国する道を選んだメキシコ人たち、移民や貧困層をターゲットにした軍へのリクルート、民営化され営業ノルマに支配される病院。
元病院経営者が語る次の言葉は重い。「目標を達成した経営者には高額のボーナスが支払われる代わりに、達成できなければ職を追われるシステムが、生き残るという目標以外には何も考えられなくするからです」(84-85頁) この言葉は、まさに今、私たちの周りに生起している事態ではないか。「高額の」ではないにせよ。
本書の後半は、大学への進学費用や奨学金ローンの肩代わりを誘い文句として高校生やコミュニティカレッジの学生たち、大学を出ても就職出来ない若者たちを軍にリクルートするシステムの紹介、陸軍が開発したオンラインゲーム「アメリカズ・アーミー」を無料でダウンロードするとユーザー登録から情報が軍に流れる仕組みなどが紹介されている。極めつけは、戦争自体が民営化され、貧困ビジネスとして世界の貧困地域から労働者が集められているという話。
ここに書かれた話はある側面から切り取ったアメリカ社会の姿だと思うし、その当否を確かめる能力は自分にはないが、コラム4に書かれている「無知な羊みたいにだまされるな、メディアは国が所有しているとは限らない。ニュースは必ず出所をチェックしろと教えたはずだ」(142-143頁)という著者の恩師(国際関係論学のブロード教授)の言葉は重い。
*****
この8月に約1ヶ月アメリカ各地のダウンタウンに滞在して、ヒスパニック系移民の多さ、貧富の差、炊き出しに並ぶ人たちの姿を見て、そしてアメリカの食料事情のひどさ(まともな食事は恐ろしく高い)、低賃金で働く人たちの生活を支えるためのチップの額に毎日頭を悩ませたことなどが、この本を遅ればせながら読むきっかけとなった。
http://www.readingplus.jp/entry/4004311128/1694001

「アメリカ教育使節団報告書 (講談社学術文庫)」
/ 講談社/ 691円/ (1979/01/10)
■ 読了(2014/10/20) / 評価:5.0 /
授業で触れていながら、これまで「成人教育」の項目しか読んだことがなかったので、思い立って全文を読んでみた。驚いたのは、使節団がいずれ漢字は一般的な書き言葉としては全廃され、音標文字システムが採用されるべきと(ローマ字を推奨)していることだ。「漢字を覚えたり書いたりするために法外な時間数が割り当てられるが、その成果には失望させられる」(55頁)と。これは言われてみればなるほどだが、今日の視点から見ると、余計なお節介だとも思う。しかし、改めて日本語について考えさせられた。日本側がこの提案を退けた経緯を知りたくなった。
もう一つの発見は、「成人教育」の項目以外に、高等教育の章に「大学図書館」と「講座の公開による教育」が含まれていることだ。これは現在の、「社会教育施設としての図書館」からはみ出た「大学図書館」の位置づけを考えると興味深い。
「教師が最善の仕事をするためには、彼らは、考え、語り、行う自由をもたなければならない。さらに彼らは地位を保障され、相応の給与と適正な退職条件をもつことが必要である」(66頁)の部分をしみじみと眺めた。
http://www.readingplus.jp/entry/4061582534/1694001

「8時間睡眠のウソ。 日本人の眠り、8つの新常識」
川端 裕人,三島 和夫/ 日経BP社/ 1512円/ (2014/01/17)
■ 読了(2014/10/13) / 評価:4.0 /
少し以前から、睡眠の質がよくない気がして、この本を読んでみた。やはり私の睡眠パターンは、高齢者のパターンらしい。「高齢者の睡眠は寝付きは悪くないんです。でも、眠りが続かないわけですね。中途覚醒とか早朝覚醒とか。また、正味、必要な睡眠時間も若い頃に比べると少なくなっています。でも、体は疲れるので早く横になりたい。それで、早く寝ちゃうと結局、深夜のうちに目覚めて、ながーい夜を過ごすことになります」(183頁)。まさにこれ。本書に示されている解決法は、遅寝をすること。眠れない時は、ベッドから出るほうがよいそうだ。「横になっているだけでも休まる、はウソ」と書いてある(151頁)。でも、夕食後の眠い時間帯を逃すと、今度は寝付きが悪くなるので、なかなか大変だ。
驚いたのは受験生の話。「四当五落」という言葉は初めて知った。さすが東大に通る人は違う。アメリカの大学で宿題が多くて寝ている暇がない云々の話(180頁)は、アメリカのMBAではわざとやりきれない分量の宿題を出して優先順位をつける訓練をさせている、という説をNHKビジネス英語で聞いた。
最後の睡眠薬のところで、ブロバリンのことを「依存性や毒性が強く、現在では不眠治療に用いることはほとんどないため表にも載せてありません」とあってびっくり。昔むかし、確かブロバリンを飲まされていたような。今はよい薬が出来ているようだが、当時は「安全」との認識でブロバリンが処方されていたのだろうから、睡眠薬に対してはよいイメージを持つことは出来ない。
ところで、私は食後猛烈に眠くなってしまって、絶対寝てはいけないはずのシーンで寝てしまうことがままあるので、もしや過眠症なのかとも思うけど、あまりに嫌すぎる現実から逃避してるだけかも程度に思っているほうがよいのかもしれない。興味深く読めたけど、現実の悩みが解消される気がしないのが残念。
http://www.readingplus.jp/entry/4822274381/1694001

「富士山噴火―ハザードマップで読み解く「Xデー」 (ブルーバックス)」
鎌田 浩毅/ 講談社/ 1015円/ (2007/11/21)
■ 読了(2014/10/11) / 評価:4.5 /
御嶽山噴火の一連の情報や報道を見て、「火砕流」って何だろう?と思ったのがこの本を読んだきっかけ。確か、家に鎌田さんの本があったはずと探したところ、この1冊だけが見つかった。本書は、火山灰、溶岩流、噴石と火山弾、火砕流と火砕サージ、岩なだれとブラスト、泥流、富士山はいつ、どこから噴火するか、の章立てになっており、最終章以外は用語の説明になっていて、概して分かりやすい。
火山灰は燃えて残る灰とは異なり、ガラスであるというのが、一番ショッキングだった。火山灰は水に溶けることなく、いつまでも消えることがないそうだ。「乾燥すれば何週間も舞い上がり、雨が降るとまるでセメントのように固まってしまう」とのこと。おまけに自動車やエアコンのフィルターを目詰まりさせ、コンピューターや精密機器を故障させ、風下に住む人は珪肺(珪酸を含む石の粉が肺に張り付いて呼吸困難や肺気腫を起こす)になるそうだ。もう、火山灰だけで十分怖い。
知りたかった肝心の「火砕流」については、この本では「高温で高速の極めて危険な流れ」とされていて、今回の御嶽山の例(さほど高温ではなかったようだが)をどう考えてよいのか分からなかった。
最終章では、「地震と噴火の連動のシナリオ」が紹介されているが、東南海地震・南海地震の発生確率(東南海が2007年時点で今後30年間の発生確率が60%、南海が同50%)と書かれていて、自分が生きている間に、大きな地震に遭遇する確率が高いことを知った。富士山の噴火による火山灰は偏西風に乗って西から東へ行くようなので、交通機関や物流がストップし、首都機能がマヒするという大問題を除けば、関西への直接の影響(火山灰が流れて来るといった)は少ないと思うが、個人レベルでは東南海・南海地震への備えはやはり必要だろう。
この本を読んだのは旅先で火山に近づくこともあるので、基本的な知識を知って、身を守ろうと思ったからでもある。とにかく知らないことが多すぎる、を実感させられた。
http://www.readingplus.jp/entry/4062575760/1694001

最相葉月 仕事の手帳」
最相 葉月/ 日本経済新聞出版社/ 1620円/ (2014/04/02)
■ 読了(2014/10/04) / 評価:4.5 /
Twitterか何かで知って軽い気持ちで買って、軽く手に取って、面白くてやめられなくなった本。最相葉月さんの本を読んだのはこれが初めてだが、学ぶところが多かった。自分より若い人なのに、まじめな人だな、とも。前半はそれほどでもなかったが、後半が面白い。以下、引き込まれた部分を。
・野間和嘉さんへのインタビュー:「ビジネス・ムスリム」(仕事上の必要のためにイスラム教徒になる人)という言葉。野間さんも聖地メッカの写真を撮るために、イスラム教徒になった。20年後には、世界人口の1/3はイスラム教徒になる。現在でも1/5とか。
星新一の評伝を書くにあたって:星新一夫人に信頼されて伊豆の別荘の遺品整理をした。段ボールで約百箱、9412行のエクセルファイル付。並行して新一の祖父の代からの年表作りも。年表大事。
・「読むこと」の章の中の、『サンダカン八番商館』のインフォーマント・サキさんの話。「越山会の女王」の話、清水潔さんの『桶川ストーカー殺人-遺言』の中に、取材のノウハウが惜しみなく公開されているという話。また、被害者やその友人たちが日時や場所とともに正確なメモを残していたこと。自分の身を守るためには、相談、録音、記録が大事。

最相さんのこの本から、さらに次の読書に誘われる。そして、インタビューや資料集めをして文章を書くという、よく似た仕事(研究とか論文いう名前は付いているが)をしている身として、非常に刺激を受けた。また今日も、自分のダメさ加減を再認識させられた訳である。
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2014年 9月の読書記録まとめ (読み終わった本)

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限界集落の真実―過疎の村は消えるか? (ちくま新書)」
山下 祐介/ 筑摩書房/ 950円/ (2012/01/01)
■ 読了(2014/09/23) / 評価:4.5 /
限界集落論がどのように生まれ流布してきたかの解説、筆者自身の広範かつ精力的なフィールドワーク、日本の人口動態のマクロな分析、現実には高齢化のために消滅した集落などなかった等、興味深い分析が次々と続く。「人口増加地帯は、人口を吸収するだけで、子どもを生む力の極端に弱い場」(267頁)という指摘は重要。また、「過疎地に暮らすお年寄りたちは決して孤独ではない。むしろ、その子供たちはもとの集落からほどよい距離にいて、頻繁に通っており、また後々には帰るつもりにしていることが多い。ふるさとから遠くに出て行ってしまった子供ですら、決して帰還をあきらめているわけではない」(182頁)は、なるほどと思う。細かいところでは、「残っている空き家も、結局は仏壇などがまだあって利用されているので、流入人口を受け入れる受け皿にはなっていない」(61頁)という部分。

とても勉強になる本だが、どうしてもついていけないのは、「しばしば言われるように、日本の社会においては、欧米社会に比べて個の主体性が弱い分、個人より集団=社会的単位が主体性の源泉になってきた。日本では、どうも本来、個人よりも、こうした集団の方が重要なのだ。集団を通じることによってのみ、主体となりうると言うべきかもしれない」(253頁)の部分。自分より若くて有能な社会学者が、さらっとこういうことを書いてしまうことの恐怖。事実の観察としては確かにそうなのだろうけど、だから日本社会は生きづらい。
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「春楡の木陰で (集英社文庫)」
多田 富雄/ 集英社/ 518円/ (2014/05/20)
■ 読了(2014/09/03) / 評価:4.5 /
デンバーで留学生活を送った高名な免疫学者、多田富雄氏の若き日の思い出。好奇心と人懐っこさが溢れるみずみずしい文章で、一気に読んでしまった。後半は、脳梗塞で倒れてからの短いエッセイ集で、正直なところ、前半で終わったほうがよかった気がする。前半部分のデンバー編は、非常に共感を持って読めるが、最後の多田式絵さんの解説を読んでびっくり仰天した。富雄氏は、式絵さんに、結婚前に「学者の妻の心得を書いた手紙」を渡したそうな。で、その文面が引用されていて、あまりの高圧的態度というか、女性差別なのか何なのか、唖然としたが、まあ、歴史的資料としては面白い、ということにしておく。
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2014年 4月の読書記録まとめ (読み終わった本)

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「片付けたくなる部屋づくり ~古い2Kをすっきり心地よく住みこなす「片付けのプロ」の暮らしテクニック65~ (美人開花シリーズ)」
本多 さおり/ ワニブックス/ 1296円/ (2012/12/10)
■ 読了(2014/04/13) / 評価:3.0 /
収納のアイデアが色々書いてある見やすく読みやすい本だが、如何せん、私のニーズには合わなかった。ディンクス向きの本で、子育て中や大家族には向かないかも。それより、やはり職業的な違いが。著者の本多さんは、整理収納コンサルタント。こちらは、本や、書類や、灰色文献、他者から見るとゴミの山にしか見えないものと日々格闘していて何とかしたいと思っているので、読むべき本が違ったようだ。
でも、この本で真似してみようと思ったのは、キッチンと風呂場の排水口に泡ハイターを吹きかけるという話。あと、文庫本風に年賀状を製本する話と、貰った手紙や写真の保管法でA4サイズのノートに貼るという話。あと、テプラ。高いけど、USBメモリスッティックの中身判別用にいいかも、と思った。
真似るのは無理と思ったのは、突っ張り棒の多用。私は突っ張り棒はすぐに落としてしまう。掛け過ぎが問題なのは分かっているけど、落ちた時のダメージが半端ない。「家計簿のカスタマイズ」の項目の出だしは面白い。「私はノート魔です。自分の手で情報を書き込み、素材を切ったり貼りつけたりする整理作業が大好きな性分で、家計簿も学生の頃からつけ続けていました」。前半は共感するけど(そういう作業は楽しいけど、時間がないと出来ないなあ)、家計簿をエクセルで手作りしたという話は、とてもついていけない。要らない扉なんかは外してしまえ、という固定観念に縛られない生き方には共感。本の趣旨から逸脱して自由連想を繰り広げるのにはいい本かもしれない。
http://www.readingplus.jp/entry/4847091213/1694001

「ふたつの紅白旗―インドネシア人が語る日本占領時代」
インドネシア国立文書館/ 木犀社/ 2916円/ (1996/08/01)
■ 読了(2014/04/10) / 評価:5.0 /
インドネシア国立文書館によるインタビュー調査を、インドネシアの2人の歴史学者が編集したものの翻訳で、テーマごとに落ち着いた筆致でまとめられています。インドネシアへ行って、インドネシアと日本の戦時中の関係を全く知らないことを恥じ、何か関連書籍がないかと探した時に目に留ったのがこの本でした。読みやすく、実際にインドネシアの人びとや気候風土に接した後だと、大変身近に感じられます。
戦時中に日本軍の手によって、インドネシアでも隣組青年団、青年訓練所等が創設されていたことを知り、驚きました。その点では、社会教育史の資料ともなります。しかし、この本を読んでいると、70年も前の話とは思えません。「日本的なもの」は今も私たちの社会の中に生き続け、亡霊のように立ち現われています。本書を読みながら、戦時中のインドネシアの人びとの忍耐強い生き方に、非常に勇気づけられました。例えば啓民文化指導所など、日本人のボスはめったに事務所にやって来ないため、インドネシアの人たちは、上手に民族主義を鼓舞する講演会を開いたりしていたようです(宣伝部に大宅壮一がいたとの記述があり、大宅壮一の回顧録があるなら読んでみたいと思いました)。恐怖でインドネシアの人びとを支配した日本軍。その中でしたたかに独立の機運を高めた人々。彼、彼女らの生き方に学ぶところ大でした。
http://www.readingplus.jp/entry/4896180178/1694001

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